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ヘンリー六世 第一部 第一場 三

伝令者

背信行為はあるまじ、しかし、兵士と軍資金が不足してをり。

兵士たちの中で、これに対して不平をいふなり、

而してあなた様たちはここでいくつかの派閥抗争を続けてをりし、

そして、一方で戦場では殺し合ひと戦ひが行はれり、

あなた様はあなた様の大将たちと言ひ争ひを続けてをり、

あるものはくずくずと続けてゐる戦争を、軍資金なく戦ってをり、

別のものたちはいち早く逃げをり、しかし、羽はなし

第三のものたちは考へてをり、浪費せずして、

狡猾で公正な言葉で平和は獲得するらむことを。

目覚めよ、目覚めよ、英国人の気高さよ!

あなた様方たちの誉れ高いことが新たに生みし怠惰で暗くすべきでなし、

農作物は武器の中のアイリスの花なり、

その英国の外套の半分を削減するべし。

エクセター公爵

仮に吾らの涙がこの葬儀に欠けてゐるとして、

それらの知らせは吾らの涙の流れる流れを呼び起こし得るらむか。

ベッドフォード公爵

吾はそれらが気懸かりなり、摂政なりしが、吾はフランスの。

吾に吾の鋼鉄製の外套を与へ給へ! 吾はフランスのために戦ふらむ。

それらの泣き叫ぶ外套とともに去り給へ!

数数の傷が吾をフランス人として立たせし、目に代はって、

絶えず疼く数数の傷の苦痛が涙を流すことで。

第二の伝令者が登場

伝令者

諸卿様方、これらの手紙を見てくださいまし、全てが悪夢の知らせなり。

フランスは英国に全く以て反抗してをり、

重要でない寂れた街街を除いては、

ランスでは皇太子シャルルが戴冠式を執り行ひ、

オルレアンの私生児は彼とともに行動をともにしてゐるなり、

統治者、アンジュー公爵は彼の領地を獲得せり、

アランソン公爵は彼の側につくなり。

エクセター公爵

皇太子が戴冠しただと! 彼へ全て馳せ参じただと!

嗚呼、吾らはこの非難から何処へ逃げようぞ?

グロスター公爵

吾らは逃げなどしまじ、しかし、的の喉へと馳せ参じる――

ベッドフォード、汝がのろのろとしてゐるなら、吾が戦ふらむ。

ベッドフォード公爵

グロスター、何故吾が先陣の汝を疑ふらむ?

兵士は吾の考への中では既に集結してをり、

それで既にフランスは瞬く間に占領するなり。

第三の伝令者が登場

第三の伝令者

吾が栄光ある諸卿方方、あなた方の哀しみに更に付け加へねばなりません、

あなた様方がヘンリー王の葬列に対して涙してゐるところに

吾はあなた様方に陰鬱な戦ひの報告をせねばなりませぬ

勇猛果敢なトールボット長官とフランス軍との間の。

ウィンチェスター司教

何! トールボットが打ち勝ったのか? さうであらう!

第三の伝令者

おお、違ふなり、トールボット長官が倒れし、

状況は私めがあなた様方に更に詳細に申し上げまする、

去る八月十日、この悲惨な長官は

オルレアン包囲作戦から撤退してゐる時、

六千の兵士では全く足りず、

二十三万のフランス軍により

包囲され、そして、討って出されし。

彼は彼の兵士に隊列を組む暇もなく、

彼は彼の射手たちの前に矛隊を置きたしが数が足りず、

その代わり、鋭き尖りし棒を、生け垣から引き千切り、

彼らは狼狽えて地にそれを突き立てし、

騎馬隊を潰滅から守るべく。

三時間以上、戦は続きし、

豪傑トールボットは彼の剣と槍で人間離れした働きをしてをりしところ、

数百人を彼は地獄へ送りし、誰も彼に立ち向かふべきものはゐなかりし、

此処彼処、あらゆるところで怒り狂ひし彼は飛び回りし、

フランス軍は突然叫び、悪魔が武装せりと、

全ての兵士が立ったまま彼を凝視するばかり、

彼の兵士たち、彼の物怖じせぬ精神を窺ひながら、

「トールボット! トールボット!」と力一杯叫びし、

そして、戦の中心へと猛然と走りぬ。

ここで勝利は決したし、

もしサー・ジョン・ファストルフが臆病でなければ、

彼は、先陣にゐ続け、――背後に陣地を確保せし、

彼らを助け引き連れる目的で、――

臆病にも逃げし、一撃も与へずに。

此処で、大勢の兵士は潰滅し、大量殺戮へと向かひし、

彼らは敵軍に囲まれし、

一人の卑しいワロン人が皇太子の天恵に与るべく、

トールボットの背後から槍で突き刺しぬ、

全てのフランス軍兵士は大将の下に力強く集ひても、

其の顔を一度たりとも見ることなぞ想像だにできぬほどに勇猛果敢なりしが。

ベッドフォード公爵

トールボットは斃れしか? その時吾は自死をするらむ、

華麗に、そして、気楽にここで何もできないままに生き延びたところで、

そして、一介の価値ある長が、助けがないばかりに、

卑怯な敵に裏切られしといふのに。

第三の伝令者

おお、いいえ、彼は生きてをりまする、しかし、虜囚として捉へられし、

そして、彼とともにスケイルズ卿とハンガーフォード卿も一緒に、

残りの殆どは殺戮され、または同様に虜囚として捉えられたり。

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