にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
PVアクセスランキング にほんブログ村
人気ブログランキングでフォロー
Clicky お問合せ

横書きと縦書きの表示切り替え

闇を纏ひし吾

闇を纏ひし吾

 

集ふは吾を喰らふ闇を纏ひし吾のみぞ

其奴らがいつしか吾を取り囲み

吾から殺気が失せるのを待ってゐる。

隙あらば吾はハイエナに喰はれるやうに

肉を噛みちぎられ、

骨は噛み砕かれ

そこには飛び散った吾の血潮の残滓が残されるのみ。

最後の最後まで吾のみ闇を纏ふのを拒んだたために

とはいへ、一方で闇をこよなく愛する吾に

闇が引き寄せられて

闇を纏ひし吾が業を煮やして集ひ始めだのであらうが、

まだ、影を手放すわけには行かず

と言ふのも此の世で最も愛するのが影だからであるが、

影は存在の存在の唯一と言っても過言ではない証左であり、

影から立ち上る陽炎の影が

何とも言へぬほどの狂喜を齎し、

吾は吾の影に酔ひ痴れる。

さうしてゆらりゆらりと歩き出しては、

いつまで経っても吾には踏めぬ吾の影を追ひ続け、

いつも迷子になる。

とはいへ、見知らぬ所に置かれた吾を見出すときの昂揚は

此の世の僥倖の一つに違ひなく

そこから吾が家へ帰る楽しみは

子供の頃の探検ごっこと何ら変はりない。

紆余曲折の末に吾が家に辿り着くとき、

吾独り安堵しては、

煙草を取り出し、

パイプ煙草の甘い香りで更に落ち着く。

それとは対照的に

闇を纏ひし吾どもは

ギラついた目付きで吾の肉体を喰らふべく

ぢっとはせずに少しづつ躙り寄ってきてゐるのだ。

さあて、吾はと言ふと

生欠伸をしては

これまた、煙草を取り出して

一服しながら、

いづれの闇を纏ひし吾を殺戮しようか算段をする。

それはそれは凄惨な光景が吾が胸奥で繰り広げられ、

最後は吾の勝利で終はる。

そんな危なっかしい日日を送る吾は

もう疾うに狂ってゐるやもしれぬ。

コメントを残す