《生者》と《死者》が交はる処

吾(わ)が《五蘊場》に手を突っ込み弄(まさぐ)ると、
其処は、《生者》と《死者》が交はる後ろの正面に至る。


――ほら、肩が凝らないかい? 何故って、《生者》は無数の無辜の《死者》の影が見(まみ)える背を背負ってゐるからね。


さうなのだ。《生者》は後ろの正面で無数の無辜の《死者》に出会ってゐる。
だから、《生者》の背に《死者》が、つまり、幽霊が蝟集するのだ。


此処で、再び、「そいつ」が「ふっふっふっ」と嗤ふのだ。
積 緋露雪

物書き。

Recent Posts

狂瀾怒濤

吾が心はいつも狂瀾怒濤と言って…

1週間 ago

目覚め行く秋と共に

夏の衰退の間隙を縫ふやうに 目…

2週間 ago

どんなに疲弊してゐても

どんなに疲弊してゐようが、 歩…

3週間 ago

別離

哀しみはもう、埋葬したが、 そ…

1か月 ago

終はらない夏

既に九月の初旬も超えると言ふの…

2か月 ago

それさへあれば

最早水底にゆっくりと落ち行くや…

2か月 ago