ぐしゃりと空に押し潰されるやうにぶっ倒れ、
意識はしつこい睡魔に呑み込まれ、
それでも立たうと気力を振り絞り、
重い足取りで一歩一歩と前へと進もうとするが、
最後は案山子の如くに大地に脚を差し込んでも立ち上がるその姿勢のみ、
おれはおれに対して許せる傲慢な存在なのだ。


追ひ込まれれば追ひ込まれるほどに
執拗にそれに抗ふ馬鹿なことをするおれは、
もう逃げ道がないところでも、
まだだ、と無駄な足掻きに一縷の望みを託しつつも、
それが儚い事とは知ってゐるおれは、
当然ぶっ倒れて卒倒する事になるのだが、
それでも藁をも掴む思ひのみで、
前のめりにぶっ倒れるのを本望としてゐる。


それが何の足しになるのかなどとは全く以て知らぬ存ぜぬが
さうせずには、おれがおれであることが恥辱であり、屈辱なのだ。


――だが、さうせずともお前は既に恥辱に堪へられぬではないか、けっ。
積 緋露雪

物書き。

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