泥沼の源泉のやうに鬱勃と湧く泡の如く
異形の吾は吾が五蘊場で鬱勃と湧いては、
ぽんと弾けて断末魔を上げ
そのGrotesqueグロテスクな表象を五蘊場にばら撒いては
吾の正体を浮き彫りにする。
しかし、そもそも吾がGrotesqueでなかったことはあるのだらうか。
吾殺しすらする吾は
残忍極まりなく、
その形相ぎょうそうは般若の如く、或ひは鬼の如くあり、
殺戮した吾を血みどろになりながら嗤って喰らふ。
さうすることでしか吾は生き延びられぬのだ。
何時しか五蘊場は血の海に成り果て、
何時も血腥い中、
吾は野生の本能を呼び覚ます。
さう、吾は生き延びるために
殺戮した吾を喰らふのだ。
さうすることで生に縋る本能を呼び起こしてゐる。
今も五蘊場に鬱勃と湧く異形の吾は
泥沼の源泉の泡の如く
クボックボッと弾けては
血腥いGrotesqueな表象をまき散らしては
吾に喰はれる。
さうして吾が五蘊場は何時しか血の海に変はり果てた。
積 緋露雪

物書き。

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