憂鬱に没する私の宿痾においても尚、
どろんと死んだやうな目で顔を上げ
前を向く姿勢は崩さぬことで、
何とか死の誘惑から逃れてきたが、
それも限界と何度思っただらうか。
死の淵から飛び降りずに
踏み留まったのは
生への激烈な執着と敗残者になることを嫌った
単なる偶然でしかない。
物憂げな魂を抱え込んでも尚、前を向くことで、
死の誘惑を振り払ひ、
無駄な足掻きと知りつつも
死臭をプンプンさせながら
さうして生き恥をさらし、
後は野となれ山となれと開き直り、
屈辱に塗れながら生きるのみ。
絶え絶えの生に倦み疲れたとはいへ、
この宇宙に一泡吹かせるまでは
何としてでも生きる覚悟のもとで
この極度の宇宙嫌悪が負け戦と解った上で、
討ち死ぬことを本望として
ズタボロの魂をもって
抜刀一閃、宇宙を斬って
吾が哀しみを宇宙に味はらせれば、
宇宙も少しは屈辱の何たるかを知り、
尻込みする筈だ。