前歴史における世界開闢物語 一

序論


前歴史における神話以前、世界は永劫のもの、即ち不死なるものの楽園でありけり。其処に智慧ある預言者が忽然と出現し、
――この楽園は既に終はりに近き。やがて智慧者が永劫より分離し、世の開闢を高らかに告げるなり。さうして永劫界は反物質の如く世界から姿を消し、死すべきものたちの世界が始まりぬ。それは、しかし、苦悶の始まりでもありき。
かう預言者は不死なるものたちに告げて姿を消すなり。
すると永劫界は俄に騒然となりぬ。不死なるものたちは、其処で初めて消滅することの恐怖に戦けし。しかし、時は既に始まりけり。全てが後の祭りでありけり。


ヰリアム・ブレイクに触発されて


第一の時代


永劫界は疑心暗鬼の坩堝の如し
恐怖、慄然、畏れ!
しかし、それが全ての前兆なり
不信が智慧者の萌芽となりし。
つまり、永劫界自らが死すべきものの眷属の智慧者を招き寄せ
不死なるものの楽園の潰滅を呼び込んでしまはりぬ
不覚でありし
永劫が潰滅を招き寄せるとは
恐怖、恐怖、恐怖!
恐慌に陥りし永劫界は
徒党を組んで永劫界を隈無く監視せし。
悪が蔓延らぬやうにと。
しかし、それが全ての始まりでありき。
永劫界の地下深くで
どくりどくりと
搏動するものあり。
かうして第一の時代は終はりぬ。
そして、疑心暗鬼の暗鬱な状態。
(続く)
積 緋露雪

物書き。

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