前歴史における世界開闢物語 二

第二の時代


右往左往する永劫界の混乱は
収まるどころか日毎に各地で擾乱を起こすこと相なり
憤懣遣る方なしのことなり故に
不安に駆られた永劫界のものたちは
その不安を他のせいにするなり
これが滅びへの主たる動因となりし
永劫界のものたちは自ら滅びの筺を開けてしまひ、
それを全て他のせいに帰することで、
溜飲を下げしが、
破滅の跫音は直ぐそこまで迫りけり
やがて呻き声の如き地鳴りが聞こへ始めけり。
地下で搏動せしものは
地を裂く力を蓄へてをり
それを永劫界のものたちは誰一人気付かずに
地の上でのみ思考は完結してをり
地の底に何ものかが搏動を始めたなどとは
努にも思はず、
永劫界のものたちは天ばかりを凝視するけり
不気味な地鳴りも天の仕業に違ひないと
高を括ってゐたことが
湮滅の呼び水になりしを
永劫界のものたち誰一人として気付かず。
或る日、それは忽然と起こりぬ。
永劫界を巨大地震が襲ひ、
永劫界の底が抜けたのか、
地は戛戛とぶつかり音を立てながら、
地の底へと崩落せしなり
永劫界は深淵の上に漂ひぬ。
そして、永劫界には一つ目の巨人が姿を現すなり。
かうして第二の時代が終はりぬ。
そして、未だに暗鬱な状態。
(続く)
積 緋露雪

物書き。

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