世界が嗤ふなら嗤はしておけばいい。
その代はりお前は凜として其処に立て。
さうしてこそお前はお前の筋を通すことが出来るのだ。
それは断じて頑なでなければならぬ。
世界を相手にするのであるから、
一筋縄では行かぬのは当然のこと。
ならばこそ、お前は断じて頑なでなければならぬのだ。
さあ、顔を上げて日輪を見よ。
網膜に焼け付くその強烈な光輝の残像に感嘆しながらも
――けっ。
と、その日輪を嘲弄してみよ。
さすれば、お前の覚悟の強さが解るといふものだ。
世界に比すれば
お前は塵芥に等しいかもしれぬが、
お前が抱いてゐる思ひの強さは
宇宙をも呑み込み、
世界を突き破るだけの衝撃を持ってゐる。
さう、世界を突き破るのだ。
そのためにもお前は赤赤と燃える日輪にしかと対峙し、
撓んだ蒼穹を
そのか細い肩でがっしりと支へ、
くっきりとした輪郭で以てして世界から浮き立つのだ。
すると、世界は異物を吐き捨てるやうに
お前を吐き出し、
顰めっ面をするに違ひない。
さうなればしめたもの。
その時世界は初めてお前を敵だと認識する。
然し乍ら、お前が帰るところはもうない。
だからこそ、お前は断じて頑なでなければならぬのだ。
しかと立てよ。
それのみがお前が携へてゐる世界に対抗する武器なのだから。
畏れる事勿れ、
世界に見捨てられしものが
真っ先に世界に抹殺されることを。