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病床にて思ふことは

病にて目に見えて体が弱りくれば

死がちらつくのはやむを得ぬとはいへ

それでもこれは吾のみか

生に全く執着しない吾といふ生き物の生態に

吾独りほくそ笑む

 

それでも吾が執着するのは

この吾といふ存在の在り方についてであり、

まだ幾分かは生きられるかもしれぬこの身の

此の世での在り方と身の処し方については

どうあっても死すまでかっと目を見開き

しっかと見届けねば此の世に心残りを残すといふものぞ。

 

能なしが吾といふ存在の在り方を考へたところで

高が知れてゐるとはいへ

吾の悪癖故に病床にありながら

思ふはこのみっともない吾といふ馬鹿げた存在の在所ばかり。

へっ、結局の所、

最期までこの退っ引きならぬ世界といふ面妖なるものに対して

吾は敗退に敗退を続け病に倒れしか。

 

それでも気が緩めば涙が頬を伝わる可愛らしげな処は

まだ吾にも残りたり。

 

冀ふは死のその時

吾の思索が拵へた槍で以てして

此の世界と刺し違へられれば

吾の本望といふものだ。

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