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アハイニア 二

第二章(d)

 

1.しかし、ユリゼンは眉間に皺を寄せ、

そして、彼の目は怒りで蒼白くなり、彼の唇は

蒼く変はり、泣きつつ自責の念で

彼は彼の「弓」を用意せし、

 

2.「何本もの肋骨」を形作りし、それは彼の闇の孤独の中で

名もなき怪物たちが森に堕ちしとき、

生じし。彼の恐ろしいほどの思索において

彼の山脈から洪水の如く激流が下り落ちつ

狂気が蔽ひし濁流が激流となりて

不自然な生まれ方をせし「いくつかの卵」とともに

直ちに孵化しつつ、何ものかが彼の丘丘で咆哮するなり

あるものは谷谷に留まり、あるものは飛び上がり空中に飛びし

 

3.それらのうち、一匹の巨大な恐ろしい大蛇に

鱗で蔽はれ毒のある角を持ち

ユリゼンの膝にさへ近づくなり

彼が彼の闇の根を張りし「槲の木」の上に御座すとき。

 

4.彼の角をして彼は激怒を押し出しき

大いなる衝突、そして、大いなる嫉妬

冷たき毒の中、しかし、ユリゼンは彼を強打せし

 

5.最初に彼は彼の血ともに岩岩を毒で穢せし

それから彼の幾本もの肋骨を磨きし、そして、彼の腱を

干からびせし、冬までそれらを別別に横たへり、

それから「弓」が闇の中準備されし、この「弓」を、

毒に穢されし岩はしじまに置かれし、

彼は「弓」にそれらの言葉を語りき。

 

6.おお、秘匿されしままの雲雲の「弓」よ!

おお、性欲が形作りし怪物のそれの神経繊維よ

これを素早く岩にお送らうぞ、不可視のままに

フューゾンの胸の上の、闇の雲よ

 

7.そういひつつ、彼の傷の苦悶の中、

彼はゆっくりと巨大な肋骨を撓めし、

闇の円運動! それから固定せし

静止の中の腱、それから岩

毒の源! 人為的に置かれし、持ち上げるのは困難なり

その重さは莫大なり、しじまが岩に横たはり。

 

8.フューゾンが彼の虎の群れを放ちつつ

ユリゼンを憤怒で殺戮せしと考へてけり。

吾は「神」なり。と彼は語りき、森羅万象の長兄たる!

 

9.突然岩がピューと音を立てるなり、素早く、しかし、不可視に

フューゾンは吹っ飛び、彼の胸に命中するなり、

彼の美麗な顔貌、髪の房房、

天の曙光が照らしけりそれは

闇ともに強打せり、形が崩れ行き

そして、森の縁まで四肢を伸ばして斃れけり

 

10.しかし、岩は地球上へと堕ち、

アラビアのシナイ山となりし。

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