第三章

 

1.「球体」は打ち震へし、そして、ユリゼンは腰を下ろすなり

黒き雲雲の上に、彼の聖油で清めし傷がずきずき痛みし

軟膏が虚無の上を流れ落ちし

血と混じり、此処で蛇は彼女の毒を得るなり

 

2.困難と非常な痛みを以て、ユリゼンは

死んだ骸を高高と持ち上げし、

肩の上に載せ彼はそれを運びぬ

一本の「木」が「莫大なもの」に引っ掛かりしところへと

 

3.それといふのもユリゼンが縮こまりし時

「幾つもの永劫」から、彼は岩の上に座りし

不毛の、彼自身の岩は

幻想を益益高めたことから石化せし

数多の涙がその岩の上に零れ落ち、

数多の草木の火花が

すぐさま苦痛を感じし根を撃ちし

「神秘」の、彼の踵の下、

鬱蒼とした木が育ちぬ、彼は書きし

彼の鉄の書に黙黙と、

ぞっとするやうな植物の撓んだ主枝の数数が

それが地面を感じたときに根まで成長せしまで

そして、再び数多の草木が芽生えし

 

4.驚き始めしユリゼンは! その時

彼は辺りに取り囲まれし自身を見し

そして、木木により屋根状に蔽はれし

彼は立ち上がりしが幾つもの幹がとても分厚く立てり

彼は困難と苦痛を持って

彼の「数数の書」、その鉄の「書」以外全てを持ち運びし、

その暗鬱な影から

 

5.その「木」は今尚、「虚無」を蔽ひて成長せし

至る所それ自身の根を張りながら

深い悲しみの終はりなき迷宮!

 

6.彼が最初に生じしその骸は

呪ひをかけられし「不思議の木」の上で、

この「木」の幹の頂上で

ユリゼンはフューゾンを呪ひで釘付けにした。

積 緋露雪

物書き。

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