第四章

 

1.悪疫の数多の矢が飛び出しぬ

木の上で蒼白く生きし「骸」の周りから

 

2.その間、ユリゼンは抽象的な微睡みにあり

「永劫」の無限に長き時代において、

彼の「悦びの神経繊維」は熔け、そして、流れ出したとき

青黒き宙空には白き「湖」が

心掻き乱し苦痛と暗鬱な苦悶の中

ある時は引き延ばされ、あると時は素早く球体へと結合せり。

 

3.上部では蒸気となりて流出せり

毒の雲雲の中、それらは濃くなりて漂ひけり

有機的に分裂破綻せし不死を蔽ひて。

恐ろしい痛みが「湖群」を鱗で蔽ひしまで

人間の骨のやうに、硬く暗黒の

 

4.悪疫の雲雲は広がり漂ふ

苦悶の不死の周りを

戛戛と衝突する骨の周りに止まりつつ

悪疫の上に悪疫が、形の上に形が。

血と苦悶の中で叫びながら翼が生えたり

 

5.「永劫の預言者」は彼の金床を叩きぬ

孤絶した闇の中、憤怒して

彼は鉄の網を周りに鍛へ上げし

そして、ロスは骨骨の周りにそれを投げし

 

6.ぱたぱたとはためく虚無の金切り声を上げしその形たち

あるものは筋肉と腺に結合され、

ある器官は欲求と欲情を求めし

苦痛に呻く虚無に残されし最も多くのものは

ユリゼンの恐ろしい兵力。

 

7.「木」の上の蒼白き生きてゐる骸の周り

四十年間悪疫の矢が飛びし

 

8.噎び泣き、そして、恐怖、そして、大いなる哀しみが

彼の暗鬱な世界全てを駆け抜けし。

四十年間、全ての彼の息子と娘たちは

頭蓋が硬くなるのを感じし。それから、アジアが

ぶら下がった深淵に生じけり。

 

9.彼らは地上では爬虫類化されし。

 

10.フューゾンは「木」の上で呻き苦しむなり。

積 緋露雪

物書き。

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