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盂蘭盆会

祖先の霊を祀り、
盂蘭盆会で祖先の霊と再会する時のその生者の作法は、
厳格なものでなければならない。
生と死は時に簡単に飛び越えてしまふ境が厳然とあるが、
盂蘭盆会の時は、
互ひにほどよい距離を保って
互ひに礼を尽くし、
厳格な作法に則り、
生者と死者が相対するその有様は、
終始緊迫感が漂ふものでなければならない。
さうでなければ、祖先の霊は落胆するばかりで、
妙に霊に馴れ馴れしい振る舞ひは
そもそも霊に失礼なのだ。
霊としては生者はより長生きして貰ひたいもので、
盂蘭盆会で再会する祖先の霊は、
嬉し涙を流しながらも
生者とは一線を画してゐる。
さうしなければ、祖先の霊の願ひは蔑ろにされ、
生者は何かの拍子にひょいっと生死の境を飛び越えて
死者の仲間入りをしかねぬ。
だから死者達は生者の領域には
厳格に作法を守って生者の生活圏に踏み入る。


そもそも生と死は何時も渾然一体となって交はってゐるが故に
盂蘭盆会の時は生と死は厳格に線引きされ、
生者は祖先の霊を恭しく迎へるのが
祖先の霊に対する最高のおもてなしである。
それでは祖先の霊が寛げぬといふかもしれぬが、
生と死の境はさう簡単に飛び越えてはならぬといふ祖先の霊の思ひこそが
祖先の霊の最高の願ひである。
その願ひを叶へることこそ
生者の務めである。


盂蘭盆会では、
生者と死者は厳格に作法に則り
終始緊迫感漂ふ中で再会するのが
祖先の霊の願ひであり、
祖先の霊は生者に生き長らへてほしいと願ふのが
普遍的であらうが、
それならば、
生死の境は盂蘭盆会では尚更強調され、
生者は簡単に生死の境を踏み越えてはならぬと
祖先の霊は生者を諫めるのが盂蘭盆会の普通の風景である。

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