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移ろひ行くことの悲哀

あと何度の春夏秋冬を生きられるのでせう。
最近夙に老ひを意識せざるを得ぬ私は
それでも日一日を精一杯生きてをりまする。
流行病が地球規模で爆発的感染をする中、
特に身近に死を意識しながらも
私にまだ、此の世に生きる使命が残されてゐるのであれば、
屹度私は他力をして生かされる筈です。
なんだかとっても哀しくなるのは
私が老ひたせゐでせう。
人生の短さを意識しつつも
若くして夭折した人を思へば
私は泣いてなぞゐられません。
如何に私が不幸であらうと
私はまだ、生かされてをるのですから
私の使命を果たすまでです。


哀しいまでに初秋の夕焼けは美しい茜色をしてゐて、
これまで幾星霜が駆け抜けたことでせう。
夕焼けの美しさに哀しみを感じる私は
それだけ人生の悲哀を知ってしまったのです。


突然襲来する夕立に
立ち竦むしかない私は
まだ、自然に対しての畏怖の念を抱いてをり、
さうして私は安堵するのです。


他力に生かされてゐる私は、
一人では決して生きることは出来ず
そのことがこの歳になって漸く解り始めたところです。
また、他力によって生かされてゐる私は、
或ひは極楽にゐるほどの幸せ者なのかもしれません。
さう思へるやうになったのも
私が歳を取ったからでせう。


ぽっかり月が昇り始めました。
其処に私はどうしやうもない悲哀を看てしまふのです。

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