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吾、見捨つるには惜しきかな

華やぐ季節がまた巡り来て
吾のみは絶望のどん底より
這ひ出られぬままに
茫然自失の中で
虚ろに夜桜を見るが、
其処がLight upされてゐるが故に
吾の絶望は更に冥くなりぬ。
冥いものは冥いままであるべきと思ひ至った吾は、
冥き魂魄を凝視するのみ。
それが吾が胸奥に空いた風穴ならば
其処はがらんどうのままがよい。
闇は闇のまま光を当ててはならぬ。
光を当てられた闇に棲まふものたちは
皆怯え戦くのを知らぬ輩が多いのは何故か。
闇の中にのみ自由はあるのにも拘はらず
其処に光を当て
ものを特定することの残酷さを
なぜ解らぬのか。
光の下にあることの胃がキリキリ痛む緊張は
吾が吾であることを強要される自同律の不快故のこと。
吾と吾との断絶は
今に始まったことではないが、
この華やぐ季節の残酷さが
尚更吾を絶望へと堕す。
生きること自体に難儀する吾は
これは宿痾に違ひないと思ひなす。
さういふやうに受容する吾は、
根本のところで間違ひを冒してゐるのは解ってゐるが、
吾は、然し乍ら、さういふ風にしか生きられぬのだ。

この華やぐ季節の到来は吾には残酷な季節なれども、
年年膨張度を大きくする絶望を抱へながら
顔だけは真正面を見据ゑ
吾が胸奥のがらんどうの風穴に吹き荒ぶ朔風に
噎び泣く哀しみに酔ひ痴れぬやうに
大地に屹立し、
歩一歩としっかりと歩き続け
足が棒になり
その成れの果ては立像の如く佇立したまま死んで行きたいものぞ。

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