永らくその《存在》に対して万人が白い目で…
かの者は今も尚、十字架に磔にされて、人間…
何処からか何《もの》かの懊悩の声が絶えず…
徐に頭蓋内の闇たる《五蘊場》で頭を擡げた…
誰が時間を数直線の如き一次元と決めたのか…
やがて夜の帳が落ちる頃、漸く目覚めつつも…
ゆっくりと煙草の紫煙を深呼吸するやうに吸…
チェンバロの哀しげな旋律に誘はれるやうに…
此の渺茫たる虚無は何処からやって来たと言…
不意に襲はれた眩暈に 「私」は永劫を見た…