いつ如何なる時も丸腰であらねばならぬ。
何故って、それがこの凄惨な世界で存在する最低の礼儀だからさ。
米国のやうに銃を持つのは卑怯の極で、
存在の礼儀知らず極まりなく、
話にもならぬ。
それは他への不信に満ちた存在に対する猜疑心丸出しの行為であり、
存在に対して失礼極まりない。
とはいへ、丸腰であることは非武装中立といふ
箸にも棒にもかからぬ空論を言ってゐるのではなく、
存在に対して敬意を抱いたならば、
丸腰でしか存在の振る舞ひは取り得ぬのだ。
それが唯一存在が此の世で取り得る存在に対する礼節であり、
帯刀した侍でも茶室に入るときは
刀を置くやうに
存在が存在に真剣に対峙するときは丸腰でなくてはならぬだ。


――へっ、何を惚けたことをほざいてゐるのか! 誰もが他者の前では武装した姿でしか対峙できぬものだらう。それが本質的には臆病な存在の正直な在り方だ。それを丸腰なんて、酷といふものさ、ちぇっ。
積 緋露雪

物書き。

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積 緋露雪
Tags: 丸腰で

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