弥次郎兵衛 両腕に等量の重りを抱き、 脚の如き一本の心棒でBalance(バランス)をとる弥次郎兵衛は、 果たして、その平行を打ち破る打撃を加へられ、その心棒がポキリと折れて、 地べたに這ひ蹲るのか。 &n […]
武満徹にはなれなかった男、またはなりたくなかった男、その名は坂本龍一。 最近、また、坂本龍一が遺したLive演奏や作品群を聴いてゐるが、坂本龍一が常に意識してゐたのは武満徹ではなかったのかと思へてならない。 […]
哀歌 二 黄昏時の哀しみに躓いてしまった。 何てことか。 まるで一生ぼんやりと 眼前の形が形としての映像を結ばない曖昧模糊とした世界を 漫然と眺めてゐる阿呆と何処が違ふといふのか。 或ひは俺は盲人か。 何に […]
妖精 彼女は何ものだったのだらうか。 私がいつも重度の抑うつ状態にあり、 不眠に悩まされてゐる疲労困憊の中にある時を狙って、 どんよりと滓が沈殿したやうな暗い部屋のドアを ――とんとん。 とKnockしては 彼女は不意に […]
アストル・ピアソラを聴きながら 「リベルタンゴ」が流れてゐる。 激情の中に哀愁漂ふバンドネオンの音色に誘はれるやうにして 私は独りテロルについて思ひを巡らせてゐる。 この一見余りにも不釣り合ひな組み合わせは […]
焼尽 一度それが尻尾にでもくっつけば、 部分はあっといふ間に全体を焼尽する小さな小さな小さな灯火の炎は、 逆巻く渦を巻きながら、とんでもない上昇気流を発生させて、 更に炎の勢いは強大になり、 最早向かふとこ […]
月下の彷徨 かそけき月光の下、 物の淡い影の中を彷徨す。 その中はまるで暗渠の中のやうに 絶えざる現在が眼前に現はれては消え、 さうして時が移りゆくのであったが、 そこでは何ものも一斉に沈黙し、 押し黙った […]
虚妄の迷宮 あれがこれになり、 これがあれに瞬時に変はる奇っ怪な世界の中、 ぐるりと巡る曲線のやうな直線に極北を見、 様様な不可視な力が作用する其処は、 等速平行運動に加速度があるやうな 物理学が成り立たぬ […]
妄想する日常 積 緋露雪 皆、奇妙にひん曲がった相貌をしながら、此の世の森羅万象はぶつくさと彼方此方で独白してゐるに違ひなく、其の独白群は風音としてしか常人には聞こへぬが、中には其の森羅万象の独白群に此の […]
眩暈 どくっと鼓動がすると、 奇妙に世界が歪曲し、 真白き霧のやうなもので世界が蔽はれ始め、 俺は五蘊場に逃げ込みつつ、卒倒するのだ。 これには何の予兆もなく、卒倒は忽然とやってくる。 卒倒し […]