風に靡く柳の枝のやうに 何処からでも吹き込んでくる風に対して自在に振る舞ふその柳の枝の柔軟さが、 どうやらおれには決定的に欠落してゐる。 風と戯れながらも自然と遣り過ごしてしまふ柳の枝に感心しきりのおれは 己は羸弱でか細 […]
逆巻く憤怒 何故、こんなにもおれは、おれに対してどうしようもない憤怒が湧き上がるのだらう。 この憤怒はおれが此の世に存在する以上、消えることはないのか。 それ以前に、おれは何に憤怒してゐるといふのか。 それすらも解らぬま […]
常在、灼熱地獄 いよいよ現世が灼熱地獄の様相を呈してきた。 この酷暑は現世を生きる人人が罪を犯してゐるといふ証左であり、 地球の気候変動は、現世の人人に対する地獄の責め苦の一つである。 これから夏は更に暑く、冬は更に寒く […]
開眼(かいがん) 生殖器たる花のやうに此の宇宙が開眼してゐるとすれば、 おれは此の身の恥辱に堪へられるであらうか。 直截に言へば存在することは恥辱以外の何ものでもない。 何故ならどう足掻いたところでおれは不完全な存在であ […]
退隠 現はれては直ぐにその姿を消し、 闇に退隠する表象群に対して さて、困ったことにおれは、 一体おれ自身と表象群のどちらが、 闇に退隠してゐるのか最早解らぬ。 趨暗性なおれは絶えず闇の中に身を隠し、 さうしなければ一時 […]
あの日のやうに もんどり打って奈落の底に落ちるやうに 一歩歩く毎に腰が砕けるこの感覚は、 最早一生消えることはないでせう。 それは額に捺された焼印の如く 罪人の徴として重く私にのし掛かるのです。 もうあの日のやうに 私は […]
ふらつきながらも 道なき道をふらつきながらも一歩一歩と進むその姿勢に酔ってゐるのか、 陶然とするおれは、悲劇のHeroにでも為ったと思ってゐるやうで、 全く唾棄すべき悪臭を放ちながら、 此の世に存在してゐるその存在の仕方 […]
異形 頭蓋内の闇の中に棲まふ異形のものたちに 何時喰はれるか解らぬままに、 冷や冷やしながら、 また、背中に嫌な汗を流しつつ、 おれはそれでも此の世に佇立しなければならぬ。 それは時空間を切り裂くやうにして […]
異物を吐き出すやうに そいつは異物を吐き出すやうに おれをあしらった。 その手捌きは慣れたもので、 おれは路傍の石と同等に 恰もなきが如くに、 否、あるにもかかはらず見出さうとしなければ、 決して見出されることがない運命 […]
棄てられる 一瞥しただけであなたに私が棄てられるのは解りました。 あなたは遠回しに事の核心を何とか語らうとしてゐる苦労は認めますが、 そんな努力は虚しく響き、棄てられるのは私なのです。 あなたは歯牙にもかけぬ、魅力がない […]