死へ傾く 生と死の均衡が破れたとき、 生者はもう死へとまっしぐらへと突き進む。 これはどうすることも出来ぬことで 絶えず、生と死の均衡の元に生が成り立つ以上、 その均衡が破れれば、死への顚落は必然なのだ。 […]
趨暗性 何故にかうも惹かれるのでせう。 瞼を閉ぢただけでもう闇の世界の入り口に立てるのです。 闇好き、つまり、趨暗性なる私にはこれ程耽溺出来る「遊び道具」は外にはないのです。 或る時期は無限への憧憬から瞼を閉ぢては闇に耽 […]
何となく 低気圧が来ると途端に体調を崩す身にすれば、 雪景色は哀しいのでした。 何となく哀しいのです。 しんしんと降り積もる雪が辛いのです。 止めどなく溢るるのは憂鬱な気分で何となく哀しいのです。 生き […]
深淵を見下ろす ゆっくりと渦巻くその中心には 底が見えぬ深淵が形成されてゐて 何故か私はそれを見下ろせるのです。 まるでそれはヰリアム・ブレイクの詩篇の 幻視の世界に呑み込まれたやうな世界だったのです。 ブレイクがaby […]
脱力してしまった 黒子のゐない文楽の人形のやうに ぶら~んと四肢が揺れるのみのその醜態にすら最早何ら反応する気力もなく、 只管に自己に潜り込むのみの脱力感は 自己を叱咤することもなく、 唯、おれは、ぼんやりと虚空を眺め、 […]
言霊の残る国において 国旗に文字を書くのは多分この極東の島国の人間には殊更に多いと思ふ。 他国では国旗に文字をびっしりと書くなんて稀なことに違ひない。 或ひはこれは私の不見識故のことなのかもしれぬが、 唯、この国の人人が […]
赤裸裸に 何ものも素面であると言ふ此の世界は、 何ものも傷つきやすい赤裸裸にその存在を表出してゐるのといふのか。 それともお互ひに対して畏怖を以て赤裸裸なることを強要されてゐるのといふのか。 何ものも諸行無 […]
欠伸をせしものは ぼんやりとしてゐると 何ものかが頭蓋骨の内側で、 ――ふぁっ。 と欠伸をしてゐるのにも気付かずに、 微風が頬を掠める仄かな感触にはっとする。 其の感触はといふと、実に気色が悪 […]
魔の手 奇妙な皺を刻んだ其の手は、 職人の手に刻まれるこぶだらけの老人の手のやうであったが、 いきなりおれの胸ぐらを摑んではあらぬ方へと抛り投げた。 おれは、あっ、といふ声すら出せぬままに、 その魔の手が投 […]
十六夜に追ひ込まれて 吸ひ込まれるやうに 女の裸体にむしゃぶりつきながらも、 心ここにあらずのおれがゐた。 それでも女の裸体から発せられる媚薬の匂ひに誘はれて、 男性器はおれの虚ろな心模様とは別に勃起しなが […]