- 開眼(かいがん) (696)
開眼(かいがん) 生殖器たる花のやうに此の宇宙が開眼してゐるとすれば、 おれは此の身の恥辱に堪へられるであらうか。 直截に言へば存在することは恥辱以外の何ものでもない。 何故ならどう足掻いたところでおれは不完全な存在であ […]
- あの日のやうに (673)
あの日のやうに もんどり打って奈落の底に落ちるやうに 一歩歩く毎に腰が砕けるこの感覚は、 最早一生消えることはないでせう。 それは額に捺された焼印の如く 罪人の徴として重く私にのし掛かるのです。 もうあの日のやうに 私は […]
- 抽象的な無限 (591)
抽象的な無限 それは俺の手には余りあるものと言はねばならぬ。 しかし、闇が此の世に存在する限り そいつは俺を其処へと誘ふのだ。 そいつの名は無限と言ふのだが、 それは俺にとって余りに抽象的なものなのであった […]
- 犇めく《もの》 (589)
犇めく《もの》 《吾》の内奥で犇めく《もの》どもは 一斉に美麗な声でマーラーの「大地の歌」のやうな歌を歌ひ出した。 それは余りに美しく、そして、余りにも哀しい歌詞で、 かう《吾》 […]
- そして《吾》は堕落する (588)
そして《吾》は堕落する ――さて、《吾》は何処へとやって来たのだらうか? 辺りを見回しても《吾》の周りには何も《存在》せず。 そこで、《吾》は日陰に隠れて、 《吾》を島尾敏雄のやうな手捌きで《 […]
- 瓦解 (576)
瓦解 おれの人生の目標は、 おれの完全なる瓦解であり、 確かにおれはすっかりと自己を瓦解し尽くした。 脳は引き攣ったやうに硬直し、軀体はそれに反して弛緩したまま あの字も書けず、また、何の言葉も発せられぬといふ 廃人同様 […]
- ツェッペリン大音量で暑気払ひ (572)
ツェッペリン大音量で暑気払ひ酔ひ痴れて俺涼を取るらむ 白湯冷めて水の甘みを味はひぬ遠き昔の接吻過る 蝉鳴かぬ酷暑の最中雨降りぬ稲妻一閃夜空真二つ 焼き場にて数多の骸待ちてをり本懐 […]
- 嗤ふ死神 (568)
嗤ふ死神 そいつは不意に現はれて生を根こそぎ攫ってゆく。 その現実を前にして現存在は為す術もなく ただ、死神の思ふがのままに、 不意に生を断念させられし。 恨めしき死者たちは此の世を彷徨ひ、 […]
- かの者 (566)
かの者 かの者は今も尚、十字架に磔にされて、人間の為の晒し者となってゐる。 何故、基督者はかの者を十字架から下ろさうとしないのか。 かの者は彫像に為っても尚、十字架から下ろされぬ不合理を 基督者はそれが恰も […]
- 朦朧 (557)
朦朧 黄泉の国の使者ではあるまいし、 高が睡魔に襲はれたくらゐで、 何も恐れる必要はないのであるが、 しかし、朦朧とする意識の中に観念の化け物でも掲げてみようかと 観念を握りしめた左手を挙げる格好の表象で これで此の世か […]
- 無限を喰らふが (556)
無限を喰らふが 此の渺茫たる虚無は何処からやって来たと言ふのか。 確かに無限を喰らった筈なのだが、 どうしやうもない虚無を埋めるには 無限を喰らったくらゐでは 埋めようもないのだ。 ならば、何 […]
- 泥沼の猜疑心 (551)
泥沼の猜疑心 それは何処までも行っても切りがない猜疑心であった。 《吾》が一度《吾》に対して猜疑を抱くと その蟻地獄から抜け出せないのだ。 「ずばっずばっ」、と蟻地獄がその深淵の底から《吾》を […]
- 春の闇烟草吹かして更に闇 (547)
春の闇烟草吹かして更に闇潛りて潛りて闇に溺るる 亡き者と巫山戲し一夜春嵐目覺めし時は枕濡れをり 焔舞ふ櫻吹雪の花びらのこの身燒きては吾窯變す 西行忌櫻盛りに散り初めて若芽青づく生 […]
- 地獄再生 (546)
地獄再生 永らくその《存在》に対して万人が白い目で見てゐた地獄が遂に再生した。 そもそも地獄なくして、此の世に《生》を継続させることには無理があり。 地獄が復活したならば、それは《吾》の自意識 […]
- 撲殺 (534)
撲殺 何も言はずにそいつは撲殺されるがままに死んでいった。 その時、その場にゐた者はそいつの眼から決して眼を背けてはいけなかったのだ。 しっかりと撲殺されゆく者のその哀しみを起立した姿勢のまま、 黙って受け […]
- 渇仰する (533)
渇仰する 何をそんなに渇仰する必要があると言ふのか。 既に俺はかうして此の世に存在し、 そもそも俺は己の存在を自明とし、 ふっ、それよりも恬然と此の世を満喫してゐるのに、 何を渇仰するものがあると言ふのか。 […]
- 異物を吐き出すやうに (532)
異物を吐き出すやうに そいつは異物を吐き出すやうに おれをあしらった。 その手捌きは慣れたもので、 おれは路傍の石と同等に 恰もなきが如くに、 否、あるにもかかはらず見出さうとしなければ、 決して見出されることがない運命 […]
- 微熱 (528)
微熱 風邪を引いて微熱がある中、虚ろな目はぼんやりと外界を眺め、 さうして、内界でゆったり浮遊する《吾》に憩ふ。 この安寧は風邪を引いた時のプレゼントで、 この虚ろな時間が私は大好きなのだ。 […]
- 未来詰む (527)
未来詰むAI革命朧月 櫻散り人が死ぬ夜生暖かし 疾風(はやて)立ち花散らす雨吾流せ AIの箍外れたる春暁 AIの旋風駆ける春の闇 Claude-Fable-5の初稿 […]
- 口惜しきは (524)
口惜しきは 口惜しきはお前の生に対するその姿勢なのだ。 お前は生に対してかくの如く断言しなければならぬ。 「死んだやうに生き永へえるには、《吾》は《吾》の無間地獄から抜け出すべく、《吾》は須か […]
- 影を追ふ (524)
影を追ふ 土台自身の影を追ったところで、何か摑める筈もなく、 しかし、それが無駄なことなのは知った上でも、尚、自身の影を追はずして 寂滅するのは口惜しいのは、存在する何ものも同等で、 さう思はずして果たして […]
- 頭を擡げし《もの》 (524)
頭を擡げし《もの》 徐に頭蓋内の闇たる《五蘊場》で頭を擡げた「そいつ」は 蟷螂のやうに鎌で獲物を摑まえる如く、 また、カメレオンが舌を伸ばして獲物を捕へる如くに、 《吾》が《吾》たる根拠を食ひ潰し始めたのだ […]
- 進退谷まれり (520)
断章『進退谷まれり』 何を思ったのか、彼は不意に哄笑したのである。そのひん曲がりながらも高らかな嗤ひ声には彼の置かれた状況が象徴されてゐて、と、突然彼は涙をその瞳に浮かべたのである。何が哀しかったのだらぅか […]
- 薄明の中で (519)
薄明の中で 其処には薄ぼんやりと今にも闇に隠れさうな《存在》の実相が 仄かに見出だされ、《存在》は昼間の作り笑顔を已めていい時間へとやって来たのだ。 ――ほら、これこれ。これが「私」だ。 &n […]
- 微睡 (516)
微睡 睡眠薬を飲み、次第に微睡へと没入する《吾》の狼狽ぶりに嗤はざるを得ない《吾》とは、一体、何なのだらうかと不意に疑問が湧き立つのであるが、 ままぁ、えいっと、それを放ったらかしにて、微睡に没入しゆく《吾 […]
- 《世界》を握り潰す (513)
《世界》を握り潰す 彼はまんじりともせずに只管、眼前の闇を凝視す。 ――何故か、《吾》が憤怒にあるのは! さう自問せし彼は闇の《世界》を無性に握り潰したくて仕方がなかった。 ―― […]
- 趨暗性 (509)
趨暗性 何故にかうも惹かれるのでせう。 瞼を閉ぢただけでもう闇の世界の入り口に立てるのです。 闇好き、つまり、趨暗性なる私にはこれ程耽溺出来る「遊び道具」は外にはないのです。 或る時期は無限への憧憬から瞼を閉ぢては闇に耽 […]
- ∞次元の時間 (508)
∞次元の時間 誰が時間を数直線の如き一次元と決めたのか。 そもそもの間違ひが其処に《存在》する。 時間もまた、《存在》するならば、それはどうあっても∞を目指してゐるに違ひない。 […]
- 生成AIの生成物に自発的な遊びが現れる日は来るのだらうか (506)
生成AIの生成物に自発的な遊びが現れる日は来るのだらうか 積 緋露雪著 論述 生成AIの欠陥はそこに遊びがないことである。遊びとは大工がいふ遊びのことである。生成AIは […]
- 未来永劫の《吾》 (501)
未来永劫の《吾》 其処は何の変哲もない《日常》の《世界》でしかなかった。 唯一つ、違ってゐたのは《吾》と《異形の吾》がはっきりと分離してゐた事だった。 それが地獄の全てであったのだ。 最早《吾 […]