朦朧 黄泉の国の使者ではあるまいし、 高が睡魔に襲はれたくらゐで、 何も恐れる必要はないのであるが、 しかし、朦朧とする意識の中に観念の化け物でも掲げてみようかと 観念を握りしめた左手を挙げる格好の表象で これで此の世か […]
世界に脱臼する 操り人形の糸が癇癪を起こした操る人に 不意に全てばさりと切れたかのやうに 私の四肢はだらりと脱臼したやうなのです。 それは世界に対しての私の対し方に問題があったとしかいいやうがないもので、 此の世界を認識 […]
行進する 我が物顔で行進するそれは、 こっちの都合なんて全くお構ひなし。 今更参勤交代の時代でもなからうが それが行進すれば、此方は平伏する。 ちらりでもそれを見てしまったならば、 もう意識はそれにこだはり、 盲目になる […]
偽装 そのままでいいと言はれようが、 おれは終始偽装する。 それが世界に対する正統な振る舞ひ方で、 騙し騙される此の世の渾沌の中での唯一残された主体の取り得る姿勢なのだ。 此の世は欺瞞に満ちてゐるなどと嘯い […]
すれ違ひ おれはしっかりとお前を見つめ、 最低の礼儀は尽くしたつもりだが、 それが癪に障ったお前はおれに対して牙を剥いたのだ。 それがお前のおれに対する切実なる思ひの表現であり、 おれの存在はお前を瞋恚に駆らせる導火線で […]
惚れる その存在を全的に受け容れたいと言ふ欲求に駆られ、 何もかもをかなぐり捨ててでも抱きしめたいのです。 あなたは既に私にとっての欲望の捌け口であり、 私の理想です。 これを恋と言ふのでせう。 切ない思ひを噛み締めつつ […]
幽玄なる重み 20世紀初頭に自身の患者の死の直前の体重と死後の体重を量った アメリカの医師、ダンカン・マクドゥーガルといふ先達がゐることに思ひを馳せ、 確かに其処には体重の差異が認められたやうだが、 それが即ち、「心」若 […]
或る冬の日に 手が悴(かじか)む中、 私は目的もなく、 或る冬の日の夜更けに徘徊したのです。 哀しい女が流した涙は、 凍てつく寒風を起こします。 落ち葉もすっかり落ち尽くした裸の木が、 それを欲してゐるからなのです。 & […]
春の闇烟草吹かして更に闇潛りて潛りて闇に溺るる 亡き者と巫山戲し一夜春嵐目覺めし時は枕濡れをり 焔舞ふ櫻吹雪の花びらのこの身燒きては吾窯變す 西行忌櫻盛りに散り初めて若芽青づく生 […]
心をば踏み潰すなり霞む夜 坂本龍一病に斃れし春半ば 春麗ら終日横になりにけり 春霞薄ぼんやりと生滅す 過去の氾濫生成AI全盛春の晩 Claude-Fable-5の初 […]