神影 果たせる哉、例へば闇夜が神の影とするならば、 それは成程、∞を呑み込む様相といっていいのかもしれぬ。 何故に神に∞が纏はるのかは、人間の知が∞を前にすると、 屈服するしかなく、 それでも人間は∞に立ち […]
反復 反復にこそ時間の謎が隠されてゐる。 反復と言ひ条、そのどれもが全く同一の相はなく、 返って反復がその位相において 全く同じ位相が見つかると言ふ事は虚妄に過ぎぬ。 例へば時計の振り子運動は全く同じに見え […]
水面(みなも) 変転に変転を重ね、 また、無数の波が重ね合ふ水面に この時空の面影を見るとすると、 一度たりとも同じ様相を呈さない水面は、 或る意味刹那的なのかもしれぬが、 その刹那に凝縮した時空の切片には […]
顫動(せんどう) かそけく羽ばたく蚊の羽音のやうに 時空は絶えず顫動し それに伴ひ俺を俺足らしめる時空も顫動する 嗚呼、其処に飛び立つのは何ものなのか。 さうしてかそけきは音を立 […]
天籟(てんらい) 何処で音が鳴ってゐるのか判然としない天籟が、 また、聞こえ出す。 吾独り畳に胡坐を舁き、 天籟が鳴る事で兆す猛嵐をぢっと待つのみ。 天籟は何時も嵐を呼び、 さうして吾の内部も […]
かそけき世界 この世界は 何とかそけきものなのだらう。 ――あっ、 と、何かを見つけても それが本当のものなのか 或ひは蜃気楼なのか 最早俺には区別が付かぬのだ。 さうして既にか […]
仄かなるもの それは一体何なのだらうか。 仄かにその気配だけが感じられる存在と言ったらいいのか、 何やら傍らにゐるに違ひないのだが、 それを「これだ」と名指せぬのだ。 名指せぬ故にそれを存在するものとして認 […]
頭痛に溺れる 脳の髄が拍動しているやうに じんじんと痛みを発する奇妙な頭痛に、 俺は溺れる。 何がさうさせると言ふのか。 俺に残された振舞ひは この脳の髄を痺れさせるやうな頭痛に […]
五蘊場に棲む者どもよ 頭蓋内の闇を「五蘊場」と名付けた俺は、 其処に棲む「異形の吾」どもに対して破れかぶれの戦ひを挑んで暫くするが、 それは敗退に敗退を重ね、 俺はもう五蘊場から追ひ出される寸前だ。 &nb […]
死の爆風 仮に生者が死の領域へと踏み出した時、 星が大爆発をして死んでゆくやうに 現存在もまた大爆発をして死するに違ひない。 そして、その爆風は死すべき現存在が 此の世に未完で終はってしまった事を託すべきも […]