がらんどう さう、私の内部は一言で言い切るならばがらんどう。 そのがらんどうに五蘊場、つまり、脳と言ふ構造をしたがらんどうは 魑魅魍魎が犇めき合ふ異世界の有様をしてゐる筈で、 容れ物によって自在に姿を変へる《水》の如くに 異形の《吾》どもが輻輳してゐる様は、 将に《水》としか言ひやうがないのだ。 そのひとつを抓み上げて、 ――お前は何やつ。 などと問ひ糺したところで、 そいつはにやりと醜悪な嗤ひを浮かべて、 あかんべえをするのみ。 さて、その魑魅魍魎は、 私の後ろの正面で嬉嬉としてゐて、 私がそいつの名を当てるのを待ってゐるのだが、 私はと言ふとそいつを名指せる言葉は持ってをらず、 唯、魑魅魍魎の異形の《吾》としてしか名指せぬのだ。 言葉で語れぬ物は、 則、その気配のみを漂はせて、 私の後ろの正面で、 戯れてゐるのだ。 ――ちぇっ。 と舌打ちしたところで、 何にも変はる筈もなく、Read Moreがらんどう

