もういいかい 何処からか、 ――もういいかい。 という鬼ごっこをして鬼になった子どもの声が聞こえてくる。 おれは、 ――ふん。 と、その幻聴を嗤ふのであるが、 しかし、本当は気になって仕方がないおれがゐるのもまた事実なのだ。 その幻聴はしかし誰に向かって、 ――もういいかい。 といってゐると言ふのか。 ――ちぇっ、おれに決まってゐる。 と、この猿芝居に腹が立たないこともないのであるが、 おれは絶えず、おれを試しておかなければ、ちぇっ、単刀直入にいふと、おれはおれが嫌ひなのだ。 しかし、それでいいと思ってゐる。 といふよりも自分のことが好きな人間を全く信用してゐない。 自虐的なことが存在の前提、つまり、先験的に付与されたことで、 自らを責め苦に遭はせない存在など、 さっさと滅んでしまへばいいのだ。 さうすれば、ちっとは住みやすい世界が創出出来るかも知れぬが、 自虐的な存在で埋め尽くされた世界は、 しかし、現在ある世界とちっとも変はっちゃゐないとも思ふ。 世界とはきっとそんなものぢゃないかと世界を見下してゐるおれは、 世界に反抗しながら、 おれの憤懣をぶつけてゐるに過ぎぬのである。 それは単なる八つ当たりに過ぎず、 世界とは、そんな諸諸のものを受け容れる度量があるのだけれども、 おれと来たなら、おれすら受け容れられぬ狭量なおれにまた腹を立てて、Read Moreもういいかい

