五蘊場に棲む者どもよ 頭蓋内の闇を「五蘊場」と名付けた俺は、 其処に棲む「異形の吾」どもに対して破れかぶれの戦ひを挑んで暫くするが、 それは敗退に敗退を重ね、 俺はもう五蘊場から追ひ出される寸前だ。 そもそも五蘊場に棲むものどもは何ものなのか。 きっとこの俺に関係したものと予想するのであるが、 その異形の様が何処をどう見てもこの俺とは全く似てゐないものどもで、 それは物の怪の類としか俺には認識出来ぬのだ。 つまり、それは、俺が物の怪の眷属の末裔と言ふ事を意味するのであるが、 しかし、この俺が物の怪だった事はこれまで一度もありはしない。 ただ、俺は人間である事を已められず、 その事を屈辱をもって受容してゐるのだけだ。 そんな俺の五蘊場に棲む仮象のものどもは既に俺の願望を負はされた 哀しい存在なのかもしれぬが、 それでも五蘊場に棲むものどもに対して俺は、 かう呟かざるを得ぬのだ。 ――お前は誰だ。 さうするとすぐにこんな答へが五蘊場で木霊するのだ。 ――お前だよ。 こんな嗤ひ話はありはしない。Read More五蘊場に棲む者どもよ

