薄明の幻影 うっすらと雲間から顔を出した満月の赤赤とした相貌にどきりとしつつ、 この宵闇へと真っ直ぐに突き進む薄明の時間にこそ、 俺の欣求した世界が寝転がってゐるかもしれぬ。 終日のたりのたり […]
暗中の祝祭 鬱勃と雲が沸き立つやうに 俺の五蘊場では祝祭が始まった。 五蘊場、其処は頭蓋内の暗中の事だが、 其処には脳があり、 しかし、現在、全てが脳に帰される事に対しての小さな小さな反抗として 敢へて頭蓋 […]
疲弊の先にあるものは かそけき気配が不意に飛び去る。 そんな時は視界が乳白色に変容して行き 疲労困憊の中にゐる俺を発見する。 この疲弊の先にあるものは 多分に憂鬱なものでしかないのであるが、 […]
そいつは立ち上がりし 不図気付くと俺は何処か見知らぬ場所で覚醒した。 開けられた瞼を再び閉ぢて夢の残骸が転がってゐないか探してみたのだが、 見えるのは吾が五蘊場が表象せし意味不明な映像ばかり。 […]
夢魔が誘ふ睡魔の中に 何とも言ひ難い程に意識が遠くなるこの睡魔の中に 意識を水に沈めるやうに沈めてしまへば、 後は夢魔の独壇場。 この夢魔の誘ひが曲者なのだ。 夢魔は絶えず俺を騙し討ちしようと […]
もんどり打って 時の流れの中にもんどり打って飛び込まざるを得ぬ此の世の存在物どもは 既にその存在が滅する宿命を授けられながらも存在する不合理に 絶えず目眩を覚えつつ、ふらふらと立ち上がらうとするのだが、 此 […]
揺らめく幻視の中で 何時からか何ものも揺れはじめ、 気付いてみるとそれは森羅万象に渡ってゐた。 何もかもが揺れる世界にゐなければならぬ苦痛は しかし、何とも居心地がいいのも否定出来ぬのだ。 そして、この相反 […]
陰翳 夕闇も深まる時、 森羅万象は一斉に陰翳に色めき立つ。 ざわざわとひそひそ話を始めるものたちは、 吾が存在により生じる陰翳に、 己の己に対するずれを確認しながら、 自分の居場所から離れてゆく。 &nbs […]
深い陥穽に墜ちたとは それは何の前触れもなくやってきた。 それは黒子(ほくろ)と呼ぶのが相応しいのかもしれぬが、 この軀体に現はれた真っ黒な点は、その底が余りに深かったのだ。 その皮膚上に現は […]
憂愁の中で私は 布団の上にだらりと投げ出された女体を眺めるやうに 私は只管私の外部と内部の両睨みで睥睨してゐたのであるが、 もはや疲労困憊の私には鬱勃と憂愁が私の何処からか湧き出し始め、 そんな憂愁の中で私 […]