夢魔が誘ふ睡魔の中に 何とも言ひ難い程に意識が遠くなるこの睡魔の中に 意識を水に沈めるやうに沈めてしまへば、 後は夢魔の独壇場。 この夢魔の誘ひが曲者なのだ。 夢魔は絶えず俺を騙し討ちしようと詭計を練っては 手練手管を尽くして、 俺を手込めにしようとする。 ひらりと飛翔する夢魔は 鳥影の如く俺の意識を蔽ひ、 さっとその足爪を深く俺にめり込ませながら 俺を丸ごとひっ捕まへては、その鋭利な嘴で突き殺す。 とはいへ、殺される俺は既に意識を失ってゐて 夢魔の為されるがまま 心地よく眠りについて夢見の最中。 そして、俺は目の前の出来事を全的に受容し、 何の不審も抱かずにゐればよかったのだが、 一度不意に疑念が脳裏を過(よ)ぎった瞬間、 夢魔の化けの皮を剥ぐやうにして、 夢魔が創りし世界は波辺の砂山のやうに崩れゆき、 俺の意識は息を吹き返すのだ。 その刹那、夢魔はさっさと逃げ失せてゐて、 水面目がけて浮き上がるやうにして 夢世界をぶち破る吾が意識は、Read More夢魔が誘ふ睡魔の中に

