存在が揺らめいた 何を思ったのだらう。 私は不意に日向へと出て、 私の影法師を踏んづけたのだ。 さうせずにはをれぬ私は、 不図我に返ると 苦笑する以外、その場を遣り過ごすことは出来なかった。 しかしながら、さうして私に踏んづけられた私の影法師は、 もぞもぞと動いては私から何としてでも逃げたくて仕方がないのを 最早全く隠すことなく、 私にあかんべえをしながら、 揺らめいてゐたのであった。 日向の世界は仄かに暖かく、 私を自縛しながらも、 闡明する世界を私に見せたのであった。 成程、世界は根本的には美しいものに違ひないのであったが、 私には、幻滅しかもたらさず、 しかし、世界には私の思ひなんてこれっぽちも気にする筈もなく、 その美しさを持て余してゐるやうに見えた。 美しいこともまた、哀しい存在なのかも知れぬ。 世界がさうである以上、私に絶えずさう意識させずにはをれなかったのであるが、 美しいことはやはり罪深いかも知れぬと思はざるを得なかった。 しかし、私にまだ、美を見出す感覚が残ってゐようとは思ひもよらぬことではあったが、 世界はそれ程に美しかったのである。Read More存在が揺らめいた

