寂しいと言ったところで 寂しいと言ったところで、 もう、貴女との関係が元に戻ることはない。 おれは、かうして夕餉を喰らってゐるが、 それは、貴女のゐないことでぽっかりと穴が空いた胸奥を 埋めようとしてゐるだけに過ぎない。 ゆっくりと時間は流れながら、 おれは、独り身の侘しさに 今更ながら感じ入って 貴女のゐない現実を凝視してゐるのだが、 過去が思ひ出に収斂してしまった現在に、 現実の重さを量ってゐるのか 貴女がもうおれの傍にゐない軽さが妙に哀しさを誘ふのだ。 人一人の存在がこれ程恋しいとは、 おれも歳を食っちまったのだらう。 ――へっ。 と、自嘲の嗤ひを発しながら、 かうして夕餉を喰らってゐるのだが、 その寂しさは全く埋まらぬのだ。 そんなことは当然なのは知ってはゐても、 ついつい喪失感を埋めようとして喰らってしまふ。 心に空いた間隙を一心不乱にものを喰らふことでしか 埋められぬ侘しさに酔ふやうにして、 ナルキッソスの如くおれは自分に酔っ払ふのだ。 さうして、できもしないのに、Read More寂しいと言ったところで

