微睡みに誰が現はれるのか 絶えず吾が視界の境界には光り輝くものがゐて、 俺を監視してゐるのだ。 そいつがもっともよく見えるのは、 闇の中であったが、 何時も不意に私の視界の境界にその輝く四肢を私の視界の真ん中へと伸ばしながら、 それは線香花火のやうに消ゆる。 その様が美しく、それが見たさに俺は、敢えて闇の中へと趨暗するのであるが、 輝く四肢を持ったそいつは、 尤も、その顔はこれまで一度も俺に見せたことはない。 果たして、そいつは俺の幻視であらうとなからうと 確かに見えてしまふ、吾が視界の境界は、 既に、彼の世へと足を踏み入れてゐるからなのかも知れぬ。 俺は長患ひをしてゐて、不思議なことが俺の身には数多く起こったのであるのだが、 それら不思議体験は、殆どが一時的なもので、ずっと尾を引いたものは、 その吾が視界の境界での輝く肢体と、光の微粒子が雲のやうにまとまった「光雲」が 時計回りに、反時計回りに巡り、 奇妙な人魂のやうなものが俺の視界の中を巡ることが依然として俺の身に起きてゐる。 これは、俺が死人の魂の通り道だと観念してもう文句も言はずに、 その現象をぢっと眺めては、 ――また一人死んだ。 と、割り切り残酷に俺は宣言する。 俺は、死人は死とともに超新星爆発のやうな爆風を此の世に吹かせ、 それが俺の視界に引っかかり、それがカルマン渦を発生させてRead More微睡みに誰が現はれるのか

