憂愁に惹かれて どうしようもなく憂愁に誘はれる時があるのだが、 それもまた、俺に与へられた特権と思ってどっぷりとその憂愁に浸る。 その時に、 ――出口なし。 と、観念する俺は、唯、憂愁の為されるがままに任せて 時間を浪費するその贅沢を味はふ。 その時間は、名状し難き極上の時間で、 それを一度味はってしまふと、もう抜け出せないのだ。 そして、その時、唯、俺の前にあるのは「自死」といふ言葉で、 死を弄びながら、堂堂巡りに埋没す。 何時まで続くのか解らぬその堂堂巡りは、 俺と言ふ存在もまた、 渦状の時間により支配されてゐると思い為しながら、 そして、それが一つの時間の解なのではなからうかと 独り合点し、 そのぐるぐる回る時間の軌跡を追ふのだ。 それが、極上の時間で、死を心棒に回る時間は、 まるで独楽のやう。 つまり、俺にもGyroscopeが埋め込まれてゐて、 その芯は真っ直ぐに死を指し、 それと直角を為して生が巡る。 死と生はぴたりと直角でなければ、 そのGyroscopeは永くは回らず、 ことりと斃れて死屍累累の死の中にRead More憂愁に惹かれて

