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Tag: 憧憬

憧憬

憧憬   Nostalgic(ノスタルジック)にも、 もう二十年数年聴いてゐなかった塩化ビニール製のレコード盤を取り出して、 そのレコードに針を落として久方ぶりにそれに聴き惚れてゐるのであるが 走馬燈のやうに吾が頭蓋内の闇たる五蘊場を駆け巡るかつての憧憬が 現在、実現したのかと自省するも、 脳といふ構造をした五蘊場は、あの頃と何ら変はってをらず、 ふつふつと今も熱情を、吾を追ひ込む熱情に滾(たぎ)りながら、 Speaker(スピーカー)から聴こえる嘗て憧憬した小林麻美の歌声に おれはかっかっと身体を熱くさせながら、 あの頃のおれが内部ではしっかりと生きてゐて、 おれといふ重層的なその存在の在り方は、 何処となくしっくりと来る在り方なのだ。   何時でも過去のおれが顔を出す現在の有様は、 それだけ歳をとったことの証明でもあるのだが、 しかし、死すまで、多分、おれのこの滾った感情は変はることなく、 内部でとぐろを巻いてゐる。 歳をとる度にそのとぐろの巻き具合がきりきりとこのおれを締め付けてゆき、 最期になって、おれは、空也上人のやうに、口からおれの姿形をした 言の葉かそれとも唯の息かは解らずとも、 おれが溢れ出る事には違ひない。 そのおれが超新星爆発の如く最期の時に溢れ出るあらゆる物のことをおれはタナトストンと名付けて その死の激烈な爆風を表現してゐるが、 タナトストンは、やがて、何かの存在物、それはもしかすると物自体なのかも知れぬが、 その存在物にぶち当たり、その存在物の五蘊場でタナトストンはカルマン渦を巻き、 不意にその存在物は吾といふ存在に目覚める。 さうやって存在は連綿と繋がってゆき、 森羅万象は絶えず吾に目覚めゆき、Read More憧憬

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