揺らめく幻視の中で 何時からか何ものも揺れはじめ、 気付いてみるとそれは森羅万象に渡ってゐた。 何もかもが揺れる世界にゐなければならぬ苦痛は しかし、何とも居心地がいいのも否定出来ぬのだ。 そして、この相反する感情の揺らめきに共振し、 更に世界は揺れるのだ。 しかし、此の世界とは一体何なのであらうか。 これはとびきりの愚問に違ひないのであるが、 それでも問はずにはをれぬ俺は 多分、既に正気を失ってゐるに違ひない。 その証左が揺れる世界なのだ。 そして、俺は此の世界と言ふものを猜疑の目でしか見られずに そもそも世界の存在を疑ってゐるのだ。 しかし、一方で、俺が見てゐるものは幻視の世界ではないのかと 思ひ為してゐる俺もゐて、 俺はこの二重写しの世界に股裂き状態で屹立してゐるのかもしれぬ。 そんな無様な俺の有様は、他者から見れば、滑稽そのもので、 下劣な喜劇を踊ってゐるだけに違ひないのだ。 それは将に醜悪極まりなく、 何ものにとっても鼻つまみもので、 それでも居直る俺もまた存在する。 どうすれば俺は俺の存在を承服出来るのかと 訝るのであるが、Read More揺らめく幻視の中で

