焼尽 一度それが尻尾にでもくっつけば、 部分はあっといふ間に全体を焼尽する小さな小さな小さな灯火の炎は、 逆巻く渦を巻きながら、とんでもない上昇気流を発生させて、 更に炎の勢いは強大になり、 最早向かふところ敵なしなのだ。 炎は炎を呼び、 その激情に煽動されながら、 更に炎は勢ひを増し、燃え盛るのだ。 しかしながら、部分が全体になるとそれは既に逆巻く炎の衰滅の兆候に違ひなく、 とはいへ、憎しみの炎が一度現存在の心に火が付くと、 それは最早消すことは不可能で 憎悪の炎は人類史の長さに相関してゐる。 憎悪といふ炎は、それほどに扱ひにくく、 また、現存在の心にその憎悪の炎を灯すのは余りにも簡単なのだ。 再び時代はテロルの時代に入ってしまったのだが、 憎悪は憎悪を招き寄せて、それが更なる炎の逆巻く大渦となり、 世界は恐怖心から更に憎悪の炎を煽動するのだ。 テロルの始末に負へぬところは、テロルが「敵は殺せ」といふ 古から伝はる箴言に収束し、 そんな憎悪の底無し沼に足を取られた現存在は 消せない憎しみの記憶に溺れるのだ。 薬物中毒者と同じやうに テロルの恐怖と憎しみの記憶の炎は、Read More焼尽

