立ち姿 ぴたりと立ち止まったならば、 もう動くことは為らない。 貧血でぶっ倒れるときでも直立不動の姿のままどすりとぶっ倒れろ。 それがこの世界に対するせめてもの反抗の形なのだ。 アトラスの如く世界を背負ってゐるといふ自負を忘れてはならない。 現存在は、世界に登場したならば、 つまり、投企されたならば、 最早退歩は許されぬのだ。 世界が移ろふ現在といふ時制に乗せられるのみで、 それで満足する覚悟が、 その立ち姿に表はれてゐないとすれば、 それは怠惰と言ふ物なのだ。 存在する事に怠惰する時間は誰しもに与へられてをらず、 あるのは黙考する時間のみ。 そして、仮に異性を愛する時間が持てたなら、 それは僥倖と言ふものなのだ。 だから、徹底的に愛を貪り、 時間を忘れて形振り構はず、性愛に耽るのだ。 さうして解る現存在の在り方は、 直立不動の立ち姿。 それ以外、認めてはならぬ。 限界を超へてまでも直立不動であるべきなのだ。 さうして現存在はやっと世界に抗し、 一矢を報ひると言ふ幻想を抱ける。 さう、幻想だ。 土台世界に現存在が抗することはRead More立ち姿

