籠もる人 そのものは独りであることに耽溺し、 吾といふ玩具を見つけてしまった。 そのものにとって吾は弄ぶものであって、 Fractal(フラクタル)なものとは全く予想出来ず、 そのものにとって吾は吾と分離した何かなのであった。 この矛盾がをかしくて仕方なかったのか。 そして、そのものは、終ぞ ――おれ。 と言ふことは憚られ、また、一生言ふ事はなかった。 では、そのものが自己を指して語るとき、 ――あれ。 として語り出す。 それは当然のことで、 吾とはそのものにとって玩具以上の物にならず、 変態を続けるその吾はそのものにとって飽きることはなく、 それ以上に耽溺させるのだ。 独り吾に籠もるそのものは、 始まりも終はりもないその吾の出自と最期を 想像することは全く出来なかったのである。 つまり、吾とは不死なるもので、 そのものにとって「あれ」と分離した「おれ」は 「あれ」が死んでも「おれ」は生き残るものとしか思へなかった。 不老不死といふ儚い夢を見ることで、そのものは生き生きとし、 不老不死は「あれ」の出来事として思ひ込む。Read More籠もる人

