紊乱 秩序なき世界が想像できるとしたならば、 そいつは神をもまた創造できる造化に違ひない。 しかし、脳という構造をした頭蓋内の闇たる《五蘊場》の記憶は、 しかし、自在に過去と現在をつなぎ合はせ、 また、近い将来を予想することで過去の記憶を持ち出し、 つまり、《五蘊場》では因果律は既に紊乱してゐる。 いくつもの記憶の糸が輻輳し、または離散を繰り返しながら、 現在とは違ふ《五蘊場》のみで辻褄が合ふ表象による世界が生み出される。 その現実と《五蘊場》内に表象された世界の齟齬に苦虫を噛み潰すやうにして、 私はその狭間を行ったり来たりしながら揺れ続け、 さうして現在を測鉛してゐるのかも知れぬ。 現在を測ると言ふ無謀な思考実験を試みて、 さうして現実を見誤る誤謬をして、 それが現実だと何の根拠もない空元気のみで主張するしかない。 しかし、現在に取り残されるばかりの私は、 更に《五蘊場》を弄りながら現実らしい表象を現実に見立て、 尚も現実を敢へて誤謬するのだ。 それは言ふなれば態(わざ)とさうしてゐて、 私は何時までも現実を見たくなく、逃亡してゐるに過ぎぬ。 そして、そんなお遊戯をしてゐるうちに現実は渾沌に身を委ね、 現実はふんわりと私の思索の上をゆき、 想像以上のことがいつも現実では起こり得、 それにどんでん返しを喰らひ、それに面食らひつつも 私は「へっへっ」と力なく嗤ひ、 空を見上げる。 そして、蒼穹には何処かぬらりとした感触のものがRead More紊乱

