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軛   基督の十字架ではないが、 誰にとっても背負ふべき十字架のやうなものがある筈である。 それを今更言挙げしたところで、 それは基督に敵ふ筈もなく、 虚しいだけであるが、 私には十字架とともに軛があるのだ。 十字架は生きるためには誰もが背負ふべき存在のその証明でもあるが、 軛は、己で課さなければ先づ、負はなければならないといふことでもない。   軛は自ら進んで付けるものなのだ。 誰に指図されたといふことでなく、 自ら進んで軛を付ける。 さうせずにはをれぬ存在と言ふ貧乏籤を引くものは、 どうあっても軛を付けねば己の存在に我慢がならず、 軛を付けた途端にさういふ輩は落ち着く。 精神衛生的に軛は鎮静の効能があり、 また、軛があることで精神はとっても楽なのだ。 この倒錯した存在は大勢の人にとっては哀しむべき存在なのかも知れぬが、 軛を付けたものたちにとって、精神が楽なのは常識だと思ふ。 尤も、十字架とともに軛を付けた この倒錯した精神構造を持つに至った経緯にはHumorがあって、、 それが解らぬ輩にはその存在の皮肉も解らぬ筈で、 ここは、軛を付けた輩を軽く嗤ふくらゐの度量がなければ 世界がお前を嗤ふと言ふものだ。   さう、世界といへば 世界が科学にぶんどられたと哲学者が慌ててゐるという内容の本を読んだのだが、 確かに数学で記述される世界は既に哲学者が語る「世界」とはずれたものに違ひなく、Read More

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