闇に紛れて この闇に紛れてまんまと逃げ果せたと思ふな。 何故って、闇自体がお前だからさ。 両の目玉をかっと見開き、 闇の中でも気配でものの存在が解かるお前は、 さぞかしをかしいに違ひない。 ところが、俺はかうして提灯を持ち お前の内部を穿鑿してゐるんだぜ。 光に照らされる気分はどうだい? さぞかしちくちく痛いだらう。 光の照射を闇たるお前の急所に当てて、 さうしてお前を殲滅するのさ。 さもなくば、俺がお前に喰はれちまふのさ。 此の世は所詮弱肉強食。 闇が勝つか光が勝つのかのどちらかしかないのだ。 闇に光あり、光に闇ある世界は既に終はりを告げたのだ。 闇の中で提灯が照らし出しものは 蛸の足のやうな吸盤がある奇怪なもので、 其処にお前のアキレス腱が、つまり、急所がある筈なのだ。 もういいだらう。 さうして虚勢を張った処で、お前の内部は全てお見通しなのだ。 闇が住む世界は既に駆逐されて、 お前は影としてのみとして此の世に存在を許されしものなのだ。 ならば、お前は、此の世からをさらばして、 さうして天の太陽を滅ぼすべきなのだ。Read More闇に紛れて

