頭痛に溺れる 脳の髄が拍動しているやうに じんじんと痛みを発する奇妙な頭痛に、 俺は溺れる。 何がさうさせると言ふのか。 俺に残された振舞ひは この脳の髄を痺れさせるやうな頭痛に対して 謙虚に対峙する事が俺が今日生きたと言へるに相応しい姿勢なのだ。 絶えざる謙虚さこそ、 この傲慢にも此の世に生を繋いでゐる俺のせめてもの償ひ。 この不愉快な頭痛を心の何処かでは心地よく感じてゐる俺は、 既にドストエフスキイの『地下室の手記』の語り部そのものに 歯痛を快感に変えると言ふその思念の持ち方をいまさらながらに意識して、 俺はこの頭痛を楽しみ、そして溺れるのだ。 頭痛に溺れる事で、 俺はやっと息が付けて、 そして、安寧を得るに違ひないのだ。 さて、この頭痛の先に俺の死が仮令待ってゐても 俺はそれを受容する覚悟は出来てゐる。 ならば、この頭痛を心行くまで味はひ尽くすがいい。 さうして何か未知なる視界が開けるならば儲けものだ。 Read More頭痛に溺れる

