深淵を見下ろす ゆっくりと渦巻くその中心には 底が見えぬ深淵が形成されてゐて 何故か私はそれを見下ろせるのです。 まるでそれはヰリアム・ブレイクの詩篇の 幻視の世界に呑み込まれたやうな世界だったのです。 ブレイクがaby […]
脱力してしまった 黒子のゐない文楽の人形のやうに ぶら~んと四肢が揺れるのみのその醜態にすら最早何ら反応する気力もなく、 只管に自己に潜り込むのみの脱力感は 自己を叱咤することもなく、 唯、おれは、ぼんやりと虚空を眺め、 […]
位置 珈琲を淹れながらもおれは絶えず空の重さを感じながら、 双肩にのし掛かるそのずしりと重い圧力に押し潰される恐怖にたじろぐおれを宥めるやうにして おれの位置に屹立する。 ところが、己の位置から食み出す瞬間 […]
正座 己の意識に対峙するときは正座するべきだ。 脚の痺れを感じつつも正座することで脳天は冴え渡り、 おれの脳と言ふ構造をした頭蓋内の漆黒の闇たる五蘊場で意識は覚醒するのだ。 これは対人の場合も同様で、正座す […]
薄明の中で 二 夜と朝の間(あはひ)の薄明の中、 死んでしまったレナード・コーエンの歌を聴きながら、 世迷ひ言のやうに腹の底から奇声を上げ、 それでお前は満足かね、といふ問ひに薄笑ひを浮かべつつ、 おれは、 […]
行方知れず おれの心は何処へ行ってしまったのだらうか。 と嘯いてみては、 何時の間にか行方知れずになってゐたおれの心は、 ふらりふらりと此の世を彷徨ってゐるといふのか。 心が抜けたこのおれは、 何の感情も湧 […]
Irony(アイロニー)な存在でありたい 誤謬であることを承知しながらも それを呑み込みながら、 おれの存在を存続させるIronyに自嘲しつつ、 それでいい、と自分に言ひ聞かせながら おれは心底Ironyな存在でありたい […]
別れ話においての優柔不断 ――はっきりと決めてください。 さう言って彼女は不意に別れ話を切り出した。 その刹那、おれは何にも決められぬ己の優柔不断に腹を立てながらも、 既に、彼女との別れを […]
今日は草臥れた 何だかな、 今日はとっても草臥れた。 何にも考へたくもないのだが、 つらつらと草臥れた頭蓋内の闇には 例へば落として割れた鏡の欠片に それぞれ違った顔付きのおれが映ってゐるやうな 意味不明な […]
ホモ・サピエンスはホモ・サピエンスを嫌ふ 何故なのだらうか。 ホモ・サピエンスは自身がホモ・サピエンスであることに堪へられぬのだ。 完璧ならざることがその因なのか、 それともそいつは自身が没入できるものを結 […]