逃げ水 其(そ)はまやかしか。 俺は確かに存在の何たるかを摑んだ筈なのだが、 ぎんぎんに輝く灼熱の太陽光がほぼ垂直から刺すように降り注ぐ中、 陽炎は此の世を歪曲し、世界を何か別のものへと変へてしまってゐる。 […]
微睡みに誰が現はれるのか 絶えず吾が視界の境界には光り輝くものがゐて、 俺を監視してゐるのだ。 そいつがもっともよく見えるのは、 闇の中であったが、 何時も不意に私の視界の境界にその輝く四肢を […]
溢れ出す死 これまで封印してきた死が溢れ出す此の世で、 これまで何の準備もしてこなかった現存在は、 愚鈍にも漫然と生きてゐるが、 死はいづれの存在の隣りにでんと構へてゐて、 ふぉっふぉっと嗤ってゐるのが解ら […]
誘惑 何人もの女性が群棲するが如く電脳の画面に出現する誘惑のメール群は それが殆どサクラで、それを生業にしてゐる、多分、女性達の哀しいメール群である。 それでもその中に本当に俺を誘惑してゐる哀しいメールが存 […]
魔が差す 平衡感覚に不図魔が差す刹那、 吾が五蘊場では何かの繋がりが切断したやうに 何ものも摑む物を失ひ、 そのまま、卒倒するのだ。 意識は、しかしながら、とってもはっきりとしてゐて、 ぶつりと切れたその五 […]
対座 お前は無造作に俺の前に対座して、 徐にかう問ひかけた。 ――では、お前は何処にゐる? まさか、俺の目の前に対座してゐるなんて思っちゃゐないだらうな。 その問ひに窮する俺は、 […]
目玉模様 私の掌には手相としてなのか目玉模様が数多く刻まれてゐて、 それを見てしまふと、ぢっと凝視してしまふであった。 或る日、何時ものやうに掌の目玉模様に見入ってゐると、 その目玉模様がぎろりと私を見て、 […]
脱臼する言葉 空が枯れ葉のやうに落ちてくる世界は、 それだけ既に朽ち果ててゐる心臓の様相だ。 搏動が止まった心臓は既に肉塊へと変化し、 それは石へと変容を始める。 石になった心臓は只管意思を封殺し、 唯、私 […]
漆黒の闇 電灯を消した部屋で瞼を閉ぢた途端に、 眼前は漆黒の闇に包まれ、 其処はもう魑魅魍魎の跋扈する世界へと変化する。 何かがぢっと蹲り、 動き出せる機会を窺ひながら、 そいつは己に対して憤 […]
JAGATARAの屈折した曲に沈溺す何處までも何處までも吾が消ゆるまで Chaosなる世界にをる吾底へ底へと度を深め行く 夜も更けて衝迫のPurple Hazeとともに七轉八倒苦悶する吾が心 […]