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武士は食はねど高楊枝

ドストエフスキイが『カラマーゾフの兄弟』の中で

大審問官に語らせたものの中に

キリストの化けの皮を剥ぐのに

大審問官はキリストを約めていへば

パン、奇跡、権威の三語に収斂出来るとし、

それを今、キリストに代はって大審問官が民のために行ってゐると

沈黙するキリストと思しき人物に語るが

そのパン、奇跡、権威は埴谷雄高にかかると

パン、電化、党に置き換はる。

それを更に現代に当て嵌めると

パン、電脳、人工知能に置き換はるのではないかと

私は密かに思ってゐる。

そして、現代は電脳と人工知能の開発にかまけてゐるからか

パンに窮する民が続出してゐる。

そもそも電脳と人工知能は厖大なエネルギイを必要とする。

そのためか、食糧生産を民は疎かにしてきた。

その根本に飢ゑたことがないために

簡単には現代では飢ゑることはないと

高を括ってゐたのである。

しかし、狂った独裁者が戦争を始めると

事態は急変し、

食品を始めあらゆるものが急騰し、

民のエンゲル係数はぐんと跳ね上がったのである。

何の事はない、

現代は最先端を走ってゐたと思はれたが

キリストが存命の時代と何も変はってゐないことが露はとなったのである。

挙げ句に病院が攻撃の第一標的になるなど

再び鏖殺、つまり、Genocideが

おおっぴらに行はれてゐるこの狂った時代、

民は救ひを神に求めてゐるが、

原理主義者は

聖戦との言葉で

Jet機で高層ビルに突っ込む惨たらしいTerrorが

平然と行はれもした時代なのだ。

 

再び世界中で戦争が勃発する時代へと邁進するのか。

このパンに汲汲としてゐる時代にも

武士は食はねど高楊枝然として

ジャイナ教の奥儀にあるといふパンを断念しても尚平然と

瞑想に耽られる余裕が持てるがどうかで

戦渦は止められるかもしれぬのだ。

 

と、そんな妄想をしながら、

私はといふと

明日をも食えへぬ貧困の中で

唯只管に飢ゑを我慢してパンを断念し、

水ばかり飲みながら

なんとか生を繋いでゐるのが実情といふ

何とも悲惨な中にゐる。

そして、この状態からの脱出は今のところ不可能なのだ。

私は障害を持ってゐて働かうにもままならず、

生活保護よりはましとはいへ、

僅かばかりの障害年金で暮らせと世界から見放された如くに

政治にも見放されてゐる。

この大競争時代は弱者は飢ゑて死ぬのをぢっと待つばかりなのだ。

 

武士は食はねど高楊枝!

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