頭の髄が痛む 何時ものやうに疲労困憊すると おれの脳といふ構造をした頭蓋内という闇たる五蘊場の髄ががんがんと痛む。 それは、おれの生涯に亙って課された業苦に違ひなく、 おれが此の世に存在することを実感するに […]
寂しいと言ったところで 寂しいと言ったところで、 もう、貴女との関係が元に戻ることはない。 おれは、かうして夕餉を喰らってゐるが、 それは、貴女のゐないことでぽっかりと穴が空いた胸奥を 埋めようとしてゐるだ […]
ライブ殺人といふ広告 遂に、否、やはり、殺人生中継が現在最も効果的な広告であり、 誰もがそれに釘付けなのだ。 そんなもの観なければいいのであるが、 SNSで流れてくるものは避けようもなく、 ネット社会におい […]
逃げ水 其(そ)はまやかしか。 俺は確かに存在の何たるかを摑んだ筈なのだが、 ぎんぎんに輝く灼熱の太陽光がほぼ垂直から刺すように降り注ぐ中、 陽炎は此の世を歪曲し、世界を何か別のものへと変へてしまってゐる。 […]
微睡みに誰が現はれるのか 絶えず吾が視界の境界には光り輝くものがゐて、 俺を監視してゐるのだ。 そいつがもっともよく見えるのは、 闇の中であったが、 何時も不意に私の視界の境界にその輝く四肢を […]
溢れ出す死 これまで封印してきた死が溢れ出す此の世で、 これまで何の準備もしてこなかった現存在は、 愚鈍にも漫然と生きてゐるが、 死はいづれの存在の隣りにでんと構へてゐて、 ふぉっふぉっと嗤ってゐるのが解ら […]
誘惑 何人もの女性が群棲するが如く電脳の画面に出現する誘惑のメール群は それが殆どサクラで、それを生業にしてゐる、多分、女性達の哀しいメール群である。 それでもその中に本当に俺を誘惑してゐる哀しいメールが存 […]
魔が差す 平衡感覚に不図魔が差す刹那、 吾が五蘊場では何かの繋がりが切断したやうに 何ものも摑む物を失ひ、 そのまま、卒倒するのだ。 意識は、しかしながら、とってもはっきりとしてゐて、 ぶつりと切れたその五 […]
対座 お前は無造作に俺の前に対座して、 徐にかう問ひかけた。 ――では、お前は何処にゐる? まさか、俺の目の前に対座してゐるなんて思っちゃゐないだらうな。 その問ひに窮する俺は、 […]
目玉模様 私の掌には手相としてなのか目玉模様が数多く刻まれてゐて、 それを見てしまふと、ぢっと凝視してしまふであった。 或る日、何時ものやうに掌の目玉模様に見入ってゐると、 その目玉模様がぎろりと私を見て、 […]