渇仰する 何をそんなに渇仰する必要があると言ふのか。 既に俺はかうして此の世に存在し、 そもそも俺は己の存在を自明とし、 ふっ、それよりも恬然と此の世を満喫してゐるのに、 何を渇仰するものがあると言ふのか。 […]
思弁的超越論私論 気配すらをも潜めし《それ》は、 自らの意思、否、《念》において 「先験的」に《吾》は存在すると自覚してゐて、 カント曰くところの「物自体」はカントの誤謬かもしれず、 物自体は全てかっと目を […]
端座する 俺の振る舞ひに決定的に欠けてゐる礼儀は ここぞと言ふ時には全的に大仰なその形式に則って 先づは端座するべきことなのだ。 例へば他人を前にして、 ぴんと張り詰めた緊迫感にしかと身を引き […]
擬態する神 何てことはない。 神と呼ばれてゐたものは、 森羅万象に擬態し、 その身を隠してゐて、 常人には見えない存在として此の世を闊歩してゐたのだ。 それが知れたからと言って、 神は全く臆す […]
くさめをしてみたが ――ハクション と、くさめをしてみたが、 誰かが私を噂してゐる筈もなく、 孤独をこよなく愛する私にあって、 くさめは、花粉症の始まりかも知れなかったのだが、 一つ、くさめを […]
存在が揺らめいた 何を思ったのだらう。 私は不意に日向へと出て、 私の影法師を踏んづけたのだ。 さうせずにはをれぬ私は、 不図我に返ると 苦笑する以外、その場を遣り過ごすことは出来なかった。 […]
音楽快楽主義者 Rickie Lee Jonesが歌ふ「My Funny Valentine」ほど心に響く つまり、心の琴線に直截的に触れる歌をこれまで聴いた事がなかったのだが、 この感動はもう何年前のこと […]
盈虚 月あらば、人ありき、か? 雲間にその顔を仄かに出す青白き月の面は、 私をかぐや姫の如くに月へと誘ふ。 ――何を詩情に浸ってゐるのか! 人なくとも月ありきさ。人の存在なんぞ、芥子粒の如きと […]
弥次郎兵衛 両腕に等量の重りを抱き、 脚の如き一本の心棒でBalance(バランス)をとる弥次郎兵衛は、 果たして、その平行を打ち破る打撃を加へられ、その心棒がポキリと折れて、 地べたに這ひ蹲るのか。 &n […]
哀歌 二 黄昏時の哀しみに躓いてしまった。 何てことか。 まるで一生ぼんやりと 眼前の形が形としての映像を結ばない曖昧模糊とした世界を 漫然と眺めてゐる阿呆と何処が違ふといふのか。 或ひは俺は盲人か。 何に […]